少ない選択で楽しめるメディア

ラジオ、テレビは、チャンネルは選ばないと行けないが、一度選べば、とりあえず、そのまま相手任せでコンテンツを受容できるメディアだ。

インターネットは自律分散システムであり、基本は自らがアクションを起こし、そのレスポンスが戻る、という繰り返しで、逐一選択することが基本である。

しかし、Twitter, last.fm, spotifyなど、一度セットすれば、コンテンツのほうから流れてくるというサービスも少しずつ増えてきた。

どうも私たちは、選択することが思いのほか負担に感じているのではなかろうか。数少ない選択で、ほどほどのレベルのコンテンツを受容できれば、もはや新たな選択を行うのは避けたい、そう考えているのではないか。

これからのインターネット上のコンテンツ競争は、いわゆる「流れてくるもの」が主役になるのかもしれない。

Spotifyを数字で見る:有料購読ユーザー数500万人、米国内100万人、総ユーザー数2000万人。

データ3題

近年の社会変化を捉えようと、いろいろデータを当たってみたところ、3つのデータを見つけた。

1.書籍の発行点数

市場は縮小傾向だが、発行点数はつい2、3年前までは増加傾向にあった。 (出版指標年表

2.消費者物価指数と生産者物価指数

ここ20年の指標の動向を明快に説明付けてある資料 (富士通総研 根津 利三郎氏のオピニオン

3.中小企業白書 付属資料

新規開業の企業数は、2000年までに比べて、2000年以降は増加 (付属資料

時間を売る女

時間を売ると言えば、いわゆる労働者が自分の時間を企業家に売ってサラリーを得る、という意味合いでしたが、今、時間を売るというのは、クルマを売るのと同じこと。時間というのはもちろん携帯電話の通話時間のこと、つまり、Airtime(プリペイドカード)を売るということだ。

アフリカ、ジンバブエで時間のトップセラーの女性を紹介する記事がでている。(How much mobile phone airtime street vendors earn a month

記事によると、Amai Blessingさんは、だいたい1日に400米ドル分のAirtimeを売る。このうち、手取りは32ドルで一ヶ月働くと700ドル、ジンバブエの町の公務員の平均年収は500ドルなので、それよりも多い。

ところで、最近では、街中で時間を売る商売から、キオスクに時間を卸す商売に手を広げているらしく、毎日4000ドル分もの時間を売り、月の収入が4550ドルくらいにはなるらしい。相当な高給取りということだ。

もちろん、時間を売る女たちが、みなAmai さんのようなわけではないが。

緩さも必要

著作権は厄介なものである。厄介というのは一筋縄では行かないという意味だ。

クリエイティビティを豊かに活発に発揮できるようにするためには、著作権を保護すべきであるという意見が大きな原則ではあるが、厳しく保護をすると、その知識が全く活用できなくなり、他の知識との相乗効果が生まれず、全体として、クリエイティビティの量と質が高まらないということがある。

一方、全く保護されなければ、発明損ということになり、他人のアイディアを盗用することばかり考え、誰も自分で発明する労を厭わなくなる、という理屈も成立する。

さて、オーストラリアのThe Australian Digital Alliance (ADA)は、著作権の緩さがむしろ大きな経済効果を産むと報告(Potential $600m annual economic boost from copyright reform)した。

まだ、中身を読んではないが、この主張は、日本のコンテンツ産業の強み(非ハリウッドスタイル)と通じるものがあるのではないか。

win-win

amazonが発表した従業員のキャリアアッププログラムはwin-winの典型例だろう。

会社が従業員に新たなビジネススキルを身につけることを経済的にサポートするプログラムだ。

たとえば、看護士の資格を取るために学校の授業料の一部を負担するのだ。年間最大2000ドルという制限もあるが、「転職を促す」ために補助するというのは、終身雇用が一般的な日本の企業では珍しいことである。

米国は、労働流動性が高いという事情あってのことだが、転職を推奨するのにお金まで付けることが、企業に取って経済合理的なのだろうか、と考える向きもあろう。せっかくOJTで育てた人材を簡単に手放すのでは元が取れないのではないか。

amazonの従業員(associates)にもいろいろな職種があるだろうが、コールセンターや発送センターで働くことを考えてみる。電話対応業務は会社とお客様の接点でもあり、高いスキルが要求されるとはいえ、全員がスーパーバイザーのスキルを持つような組織体制では人件費の負担が高くなり、商品の販売価格の競争力を下げてしまうだろう。発送センターも同様に、ロジのスペシャリストばかりでは「船頭多くして、・・・」となり、人件費が高騰するばかりか、現実には汗をかく労働者がいないと正確で迅速なamazonのデリバリーシステムは成り立たない。

つまり、企業の中のある職種については、あまり高くないスキルと労働コストがふさわしく、それらの職種の人材は特に流動性を高めて新しい人を入れ、高スキルの人を出していく必要がある。そうしないと、人件費ばかりが膨らんでしまう。転職のためのスキルアップに経済的な補助をして、人材の流動性を高め、人件費を抑制したほうが、企業としても経済合理的だというわけだ。

これは、amazonで働こうという人にとっても魅力である。「今は、特別なスキルはないが、5年くらいamazonの配送センターで働き、その間に、会計士の資格をとって、いずれ会計事務所に転職する」といったキャリアデザインが描けるのだ。amazonにとっても、そうした前向きな人が集まるとさらに好ましい。

日本は終身雇用を前提として労働流動性が低いが、労働市場が今そうであったとしても、こうした施策ひとつで、自らの雇用者の流動性を高めることもできることが分かる。

企業にとっても従業員にとっても好ましい好循環を自ら作り出すことができるのだ。

古典的だけど、新しいビジネスモデル

これまで

Amazon.com レコメンドシステム(購入履歴、検索行動からおすすめ商品に誘導)

Google AdWords 検索行動から、マッチする広告を表示(キーワードの価値に応じた値付けも)

Groupon クーポン集めサイト(スケールメリット、クーポンが集まる⇔人が集まる)

CardLytics クレジットカードの取引履歴から適切なクーポン情報を配信

thinknear モバイル位置情報連携広告

金融機関は保有する取引情報を「メディア」としてあらたな価値を生むものとして活用し、

広告主(クーポン発行者)は、効率のよい集客ツールとして、そのメディアを使う。

CardLyticsが間に入ることで、顧客情報が直接広告主にわたることはない。

果たして、CardLyticsは広告(クーポン)ネットワークの中枢に入れるだろうか。

超長期経済推計データ

Angus Maddison(1926-2010)のHPでは、超長期の経済推計データが掲載されている。

Historical Statistics

Statistics on World Population, GDP and Per Capita GDP. 1-2008 AD

これを見ると、世界経済は、これまでのところ、右肩上がりの経済成長を続けていて、とくに、1950年以降、さらには2000年以降も成長率が加速していることが分かる。もっとも、この20年の間の成長率に貢献しているのは、中国をはじめとする中位の発展国であり、いわゆる先進国の成長率は鈍化し、世界全体の成長率を引き上げることには貢献していない。