The Utility Business Model

M. A. Rappa, “The utility business model and the future of computing services”, IBM Systems Journal, vol 43, no 1, 2004

コンピュータのハードウェアおよびソフトウェアの発達により、コンピュータの仮想化が進んできた。すなわち、コンピュータ利用者からみれば、ひとつのシステム(=OS)と見えるものが、物理的には、複数台のコンピュータ(いわばパソコン)に、複数セットのシステムが稼働しているものの”ひとつ”であるサービスが商用化されている。これは、どういうことかというと、結局のところ、CPUパワーとメモリ容量とディスク容量といったコンピュータリソースを利用(ハードウェアとしてすり減らないとすれば、そうした能力を消費するだけ)しているわけで、水道(水源地から浄水場を経由して水道管を通って家庭の蛇口から水が出てくる)や電気、ガスなどと同じように見えるのではないか、という論法だ。

そうなると、コンピュータの利用料も、切り売りされたリソースの量を量り売りするのが妥当ではないかとRappaは主張している。Rappaによれば、コモディティは従量制、高付加価値商品は定額制がなじみやすいということだ。

この論文で主張していることは上記だが、その過程で、e-businessの分類が行われており、それが今後のプラットフォームビジネスの分析のリファレンスとなるかもしれないので、そこで示される9つのモデルをあげておく。

Brokerage model. 売り手と買い手を引き合わせ、取引を起こさせる活動をいう。たとえばebayなど

Advertising model. 放送と同じ仕組み。web上のコンテンツに広告をつける。たとえばGoggleなど

Information-intermediary model. 消費データなどから付加価値(マーケティング用のデータなど)を産み出す。たとえば、posシステムなど

Merchant model. オンラインショップ。たとえばAmazon.comなど

Manufacturer Direct model. 製造メーカーのネット直販。たとえばdell computerなど

Affiliate model. 一般のwebサイトで売ってもらうようなモデル。Amazonのアソシエートプログラムなど

Community model.  ユーザーロイヤリティによって成立する。たとえばLinuxやOhmynewsなど

Subscription model. 会費をとってサービスを提供するモデル。たとえば、有料データベースやISPなど

Utility and hybrid model. 量り売り提供のサービス。たとえば、電気、ガス、水道など

 

論点

Rappaの主張はわかるが、電気、ガス、水道と通信の違いは、製造コストと流通コストのいずれもが異なるということである。現時点では、電気、ガス、水道の製造には規模の経済性が大きく働くため、製造拠点を集約し、そこから配送する。しかし、通信の場合は、電話やメールのようなpoint-to-pointからgoogleの検索機能のように巨大なデータセンター設備が必要なものまで、スケールの差が大きい。

実は、電力もまだ影響力は大きくないが、各戸に太陽発電システムが設置されるように技術革新が進めば、今のような集中型のシステムではなく、分散型のシステムが合理的になる可能性もある。情報通信は、現在、クラウドコンピューティングがもてはやされているが、巨大なデータセンター型とP2P型の両方が使い分けられていくのではないだろうか。多量のデータを処理対象とする場合はデータセンター型で、電話のようなコミュニケーションサービスはP2P型が適しているかもしれない。

したがって、確かに、ここ数年、グリッドコンピューティングやバーチャルマシンの革新が進んだのかもしれないが、その先には、さらに進んだ分散コンピューティングが待っている可能性もあるのではないだろうか。

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